西芝電機株式会社

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舶用ターボチャージャ発電システムを開発

2009年08月18日

[イメージ] 舶用ターボチャージャ発電システムを開発

 当社は、新エネルギー・産業技術総合開発機構、三井造船株式会社と共同で開発要素・レベルが高い大型機に目標を定め、ターボチャージャに高速発電機を直結し、余剰排気エネルギーをエンジンの最適掃気圧力を維持しながら電気エネルギーに変換して回収する1000kWクラスの「舶用ターボチャージャ発電システム」を開発しました。

 地球温暖化防止に関する京都議定書が発効し、船舶におけるCO2排出量の削減並びに燃料使用量の低減のために、国及び船舶業界では船型の改善、動力変換の高効率化など、船舶の省エネルギー性能向上のための技術開発が推進されていますが、船舶の大中型エンジン(2~7万kW)は、近年のターボチャージャ効率の向上に伴い、エンジンの排気ガスに余剰エネルギーが生じ、活用されることなく大気に放出されています。

 今回の開発対象のエンジンでは燃料油のエネルギーを100%とすると、エンジンの軸出力は49.3%で、残りの50.7%は廃熱として放出されています。この50.7%の廃熱の中から、最大2.3%を電気エネルギーとして回収することで、エンジンの総合熱効率を51.6%に向上できます。この回収した電気エネルギーは船舶の電源を賄う電力供給用ディーゼル発電装置1台分に相当し※1、複数設置されるディーゼル発電装置の内1台を停止することにより、最大4.6%のCO2排出量削減、及び燃料使用量削減が可能となります。

 今後は2012年度の製品化を目指し、船種毎に適合する発電システムの容量・構成の検討を行い、実船搭載によるフィールド試験を進めていきます。

 当社は環境負荷低減に向けた製品の展開を図っており、今後も発電システム/ドライブ技術をコアコンピタンスとして最適なエネルギーソリューションを提供し、環境負荷低減に努めてまいります。

  • ※1 コンテナ船に搭載されるエンジンのターボチャージャに適用した場合

開発システム

 船舶には推進用大中型ディーゼルエンジンと電力供給用ディーゼル発電装置が搭載されており、電力供給用の発電装置は、船内の電力負荷によって発電量を増減させるため、複数台搭載されています。
 開発したシステムは、推進用大中型ディーゼルエンジンのターボチャージャに高速発電機を直結し、発電した電気を周波数変換装置で船内電源周波数に変換して船内に供給するシステムです。
 1万回転以上の高速で回転するターボチャージャに発電機を直結するため、高速回転の遠心力に耐える特殊な永久磁石式ロータを採用しました。
 高速発電機から発生する電力は数百Hzの高周波となるため、周波数変換装置で船内電源周波数の60Hzに変換するシステムとしました。

 発電した電力で航海中の船内電力を賄えるため、ディーゼル発電装置の一部を運転停止することが可能となり、最大4.6%のCO2排出量削減、燃料使用量削減及び発電装置の保守費の低減が図れます。また、周波数変換装置は発電量の制御機能があり、エンジンの稼動状態に合わせて最適なターボチャージャの回転数に調整ができるため、従来に比べて長期的なエンジンの信頼性向上が期待できます。
 開発した発電システムを大中型エンジンが搭載される船舶に適用した場合、船舶の電源を賄う電力供給用ディーゼル発電装置1台分に相当する電力を供給できます。

 製品化においては新造船だけでなく既存船(レトロフィット)への適用も視野に入れ、製品化を推進してまいります。

開発品の概要

ターボチャージャ TCA88形
発電機 永久磁石式高速発電機
1,300kW - 10,500min-1
制御装置 12パルスダイオードコンバータ
PWM 3レベルインバータ

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